CONCEPT
CONCEPT
朝、街を歩く。
シャッターがひとつ、またひとつと開いていく。
道の脇を水が流れている。
家の前を掃いている人がいる。
花壇に水をやっている人もいる。
まだ人の少ない通りを、 仕事や学校へ向かう人が歩いていく。
店先には昨日と同じものが並び、どこかで車の音がする。
晴れた日には、建物の隙間から富士山が見える。
朝は青白く、夕方になると少し赤くなる。雲に隠れている日もある。
夜になれば、ひっそりと暗闇の中に佇んでいる。
季節はめぐる。
昨日まであったものがなくなり、なかったものができる。
しばらくすると、それも街の中にあるものになる。
旅に来た人は、その街の朝から夜までを過ごす。
宿を出て、道を歩き、店に入り、誰かと話す。
何度か同じ道を歩くうちに、知らなかった場所が、 少しずつ自分の知っている場所になっていく。
そうして、旅人は少しずつ街との関係を持ちはじめる。
街で過ごす人が増え、街を歩く人が増え、誰かと誰かが出会う。
そういう時間が重なって、宿も少しずつ街との関係を持ちはじめる。
街は、少しずつ変わっていく。
変わらずに、変わり続けている。
しばらく経って振り返ると、やはり同じ街にいるような気がする。
そうして積み重なったものが、街の風景となる。